小学校の体験学習用にと残してあるという山城さんのパイナップルは、畑の中でひときわ鮮やかに輝いていた。

2015/1/18

宜野座村特集 沖縄のシマの話題 特集

山城さんのかがやくパイン

沖縄本島でパイナップルの産地といえば東村が有名。
だが、同じやんばる地域にあって東村にも勝るとも劣らない名産地こそ、宜野座村であることを、あなたはご存知だろうか。

宜野座村のマスコットキャラ「ぎーのくん」も特産品のパイナップルに似たパンツを履いている。

宜野座村のマスコットキャラ「ぎーのくん」も特産品のパイナップルに似たパンツを履いている。


あのパインも半分近くは宜野座産
沖縄県北部の土は国頭マージとよばれ、土壌は酸性~強酸性、水が浸透しにくいという特長がある。
パイナップルは「耐寒性」は弱いものの「耐乾性」は強く、痩せた酸性土壌の土地での栽培が可能ということで、特に酸性土壌の本島北部地域や八重山地方で基幹作物として定着してきた。
ここ、宜野座村もパイナップルの生育には適した環境が整っていることから、村の特産品として多くの農家が生産を行っている。


「最近人気のボゴールありますよね。あのパイナップルの露地ものの出荷は北部では宜野座村が一番多い。多分、半分近くいっているんじゃないかなぁ」
ボゴールは手でちぎって食べることのできるやわらかなパイナップルで、「スナックパイン」の名前で親しまれているポピュラーな品種。
パイナップル好きの方なら、一度は取り寄せて食べたことがあるだろう。
加工品としては向いていないため生食用の需要が多く、沖縄のパイナップルといえばこのパイナップルを思い浮かべる人も多い。
出荷最盛期の露地栽培ものは半分以上が宜野座村産だというのだ。


小学校の体験学習用にと残してあるという山城さんのパイナップルは、畑の中でひときわ鮮やかに輝いていた。

小学校の体験学習用にと残してあるという山城さんのパイナップルは、畑の中でひときわ鮮やかに輝いていた。

パイナップルの栽培について熱心に語る山城さん。1万坪をこえる農地でパイナップルを生産している。

パイナップルの栽培について熱心に語る山城さん。1万坪をこえる農地でパイナップルを生産している。

パイナップル作りは、難しい。
「今でこそいろいろな作物を作るようにはなっているけれど、昔は農業といえばパイナップルかさとうきびくらいしかなかった」と山城さんが語るように、一昔前の宜野座村のパイナップルの出荷量は今よりもっと多かったそうで、現在宜野座ドームが建っている場所もパイナップルの加工場だったそうだ。


近年、パイナップルの出荷量が減っているのには理由がある。
それはパイナップル作りの難しさだ。
「パイナップルは熟度の見極めが難しい。今日はまだ熟していなくても、明日になれば過熟になっていることもある。パイナップルはマンゴーなんかと違って追熟する果物ではないから、採るタイミングを間違えると大変だから、出荷の最盛期なんかは休む暇がないくらい忙しい」


最近若者の農業離れが問題になっているが、その一因として挙げられるのが『重労働である』というイメージ。ある調査によれば、この『重労働である』に関しては農業従事者でさえもそう感じている人が多いそう。自然を相手にしているから「ちょっと待って」が言えない出荷最盛期は、たしかに重労働にもなってしまうだろう。

品種をわけたり苗の植え付けをずらしたり、発芽のためのホルモン処理をずらすことで、ある程度は収穫時期のコントロールはできる。そうすることで、熟度の見極めなど美味しいパイナップルの出荷につながる。

品種をわけたり苗の植え付けをずらしたり、発芽のためのホルモン処理をずらすことで、ある程度は収穫時期のコントロールはできる。そうすることで、熟度の見極めなど美味しいパイナップルの出荷につながる。


パイナップル農家は、それしか作れない
「カラスなんかにやられたりすると商品としての価値がなくなってしまうから、ネットがけなんかも重要。そういったところで意外とコストがかかってしまうわりに単価は低いというのも、他の農家さんがやりたがらない理由かもしれない」


山城さんの畑では、沖縄では「ハワイ種」「Nパイン」と呼ばれている品種を主に生産する。
この品種は加工用として買取り価格が安定しているためで、外見の善し悪しなどで価格が乱高下しがちな生食用のボゴール種より重視している。


「確かに、生食用のパインは高く売れるときは売れるんだけど、見た目重視なところがある。さっきも言ったようにパイナップルは追熟する果物ではないから、青い状態でも中身は完熟ってものもあったりする。だけど、そういうのはイメージが悪いのか高く売れないんだ。場合によっては加工用の値段より安いときもあるくらいで、あれじゃパイナップル農家はやっていけない」


山城さんの言うことも最もだ。
スーパーなどで見かける輸入のパイナップルは、表皮が青いものが多い。
けれど、沖縄産のパイナップルは外見が青いと売れないのだ。
中身は完熟なのに、である。
そういったことから、山城さんは加工用のパイナップルに力を入れる。
加工用のパイナップルは買取価格が安価で安定しているため、収入を増やすためには収量を増やす必要があり、そのためには広大な畑を管理しなければならない。


「パイナップル農家は、それしかできない」
だから、山城さんはパイナップルの栽培に全てを注ぐ。
パイナップルの時期が来たら、ぜひ道の駅ぎのざに足を運んでもらいたい。
そこで手にするパイナップルはもちろん宜野座産のパイナップル。
山城さんのようなパイナップル農家が作ったパイナップルをぜひ手に取って見て欲しい。
多少、見た目に青いものが混じってはいるかもしれないけれど、ひとたび切れば、その切り口は黄金のような輝きを放っているはずだ。


(投稿者:Uchina編集部)

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