中国貴州省に暮らす苗族は約430万人、独自の言語は有るが、長い流浪の間に文字を失ってしまった。苗族が日常生活上の農作業の合間に行う布づくりは、民族の存続に大きく関わり、伝統の民族衣装には民族の誕生や継承にまつわる伝説、先祖からのメッセージが込められている。また、負ぶい帯や帽子は民族の存続や幼子を包んで育てる際の護符としての役割も果たす。
苗族の女性たちは、根気と集中力、そして創造力をも要する民族衣装や負ぶい帯の制作における染織、刺繍などの一連の作業を経て、自然や先祖への敬意と感謝、そして、将来迎える母としての心構え、あらゆる困難に負けない忍耐力を育む。男性たちは衣装や負ぶい帯の出来具合をみて女性の力量を知り、結婚の判断材料にする。つまり布づくりという行為自体が、人間育成や社会形成という大きな役割を担っている。
本講座では、30年に渡る現地調査で見た・触れた、苗族の布づくりを写真と解説及び現地で収集した染織品を交えて紹介し、染織の原点である人と布との関係を再考す
る。
日時:5月16日(土)14:00〜16:00(開場13:30)
講師:鳥丸知子 氏(染色研究家)
場所:3F 講堂
定員:200人(当日先着順、予約不要)
※入場無料